手元に溜まった動画や写真、音声ファイルを「あの時撮った海辺の動画」のような自然言語で検索できるAIツール「Clipto」が、1500万ドルのエクイティラウンドを調達し、評価額2億5000万ドル(ポストマネー)に達した。設立3年のスタートアップで、投資家にはHSG(旧セコイア・チャイナ)やGL Venturesが名を連ねる。

テラバイト級のデータをローカルで検索する仕組み

Cliptoの中核機能は、ユーザーが保有する動画・音声・画像・文書・会議録をひとつの検索可能なメモリに統合することだ。処理はすべてローカルデバイス上で完結し、クラウド連携はオプション扱いにとどめることでプライバシーを重視する設計になっている。ChatGPTやClaude、Cursorといった外部AIツールとも連携でき、自然言語での問い合わせに対応する。Cliptoは「生成AIの時代、問題はコンテンツ不足ではなく過剰だ」とし、増え続けるファイルを「探せる記憶」に変える点を強みとして掲げる。

黒字化を達成した数少ないAIスタートアップ

Cliptoはすでにユーザー数3000万人以上、有料登録者数十万人規模を抱え、年間経常収益(ARR)は2026年初時点で1500万ドルに到達した。多くのAIスタートアップが赤字先行で成長を優先する中、ネット収益ベースで黒字化を達成している点は際立つ。AdobeやApple、Googleも類似のメディア検索機能を提供しているが、Cliptoは複数のAIツールとの連携とマルチメディア対応の幅広さで差別化を図っている。

個人利用の検索ツールとしての位置づけ

今回調達した資金は、消費者向けハードウェア上でAIモデルを直接動かすためのインフラ整備に充てられるという。クラウドに頼らずデバイス上で高速に検索できる体験は、大量のメディアファイルを日常的に扱うクリエイターや研究者、ジャーナリストにとって実務的な選択肢になり得る。個人が抱える膨大なデータをどう資産として活用するか、という課題に対する具体的な解の一つといえる。