DeepSeekが新しいマルチモーダルモデル「V4.1-Flash」を公開した。長文コンテキストを扱うAIエージェント向けにメモリ消費を大幅に削減した設計で、MITライセンスのもとHugging Faceで無料公開されている。コーディング系のベンチマークでは、Anthropic Opus 5やOpenAI GPT-5.6 Solを上回る性能を示した。

メモリ効率化の核心

V4.1-Flashは総パラメータ数5520億のうち、入力処理時には80億、出力生成時には160億のみを活性化するアーキテクチャを採る。最大100万トークンのコンテキストに対応し、45兆トークンのテキスト・画像データで学習された。

最大の特徴はKVキャッシュ(処理済みコンテキストを保持するメモリ領域)の圧縮だ。前世代のV4-Flashと比べ、GPUメモリ上の使用量を4分の1、SSDなどのホストメモリ上では8分の1にまで削減した。入出力を分離するエンコーダー・デコーダー構成と、キャッシュをFP4形式(従来のFP8よりデータ量が少ない数値形式)で保持する工夫により、入力処理の計算量もほぼ半減させている。前世代のV1と比較すると、トークンあたりのグローバルKVキャッシュサイズは437分の1という規模の縮小になる。

ベンチマークでの性能

コーディングエージェント向けベンチマーク「DeepSWE v1.1」では74.2%のスコアを記録し、Anthropic Opus 5やOpenAI GPT-5.6 Solをわずかに上回った。一方でProgramBenchなど一部の指標では上位モデルに差をつけられており、複雑な科学タスクや画像解析の精度には課題が残るという。

開発者への影響

V4.1-FlashはHugging Face上でMITライセンスのもと無料で利用でき、API経由でも従来のV4-Flashと同じ価格体系で提供される。メモリ消費を抑えたことで、長時間動作するAIエージェントや大規模なコンテキストを扱うアプリケーションを、より低コストなインフラで運用できる可能性がある。オープンウェイトモデルの性能向上が続くことで、開発者はクローズドモデルとの使い分けをあらためて検討する局面が続きそうだ。