OpenClaw 2.0公開、セットアップ簡素化と複数人での共同作業に対応
オープンソースAIエージェントOpenClawがメジャーアップデート。既存の認証情報を自動検出する導入フローと、チームで同じタスクに取り組めるクラウドセッション共有機能を追加した。
オープンソースのAIエージェントプラットフォーム、OpenClawの非営利運営団体OpenClaw Foundationが「OpenClaw 2.0」を公開した。933人の貢献者による1万6000件以上のプルリクエストを取り込んだ、プロジェクト史上最大規模のアップデートで、初回セットアップの簡素化とチームでの共同作業機能が柱になっている。
既存の認証情報を自動検出するセットアップ
新しいインストールフローでは、初回起動時にユーザーのマシンにすでに存在するリソースを自動検出する。ChatGPTやClaudeのサブスクリプション、APIキー、Ollama・LM Studioなどのローカルモデルを見つけ出し、ゼロから設定を組み立てる手間を省く。開発チームは公式ブログで「初回インストールでは、その人のコンピュータにすでにあるものから始める」と説明している。
ブラウザ版のControl UIも全面的に刷新された。MarkTechPostの報道によると、起動時間は従来の約1.6秒から575ミリ秒へ短縮され、JavaScriptリクエスト数も140件から45件に削減されている。新設された「Session Rail」機能は、実行中のセッションの評価・計画進捗・プルリクエストの状態をチャット画面内に表示し続ける。
チームで同じタスクに取り組むクラウドセッション
最大の目玉が、複数ユーザーが同じセッションに参加できる共有クラウドセッション機能だ。進行中の作業にチームメンバーを追加し、文脈を共有したままタスクを割り振れる。OpenClaw自身の開発チームも、このリリースの開発過程でこの機能を使ったという。
ただし公式ドキュメントは、この機能が「テナント分離ではなく、セキュリティ境界でもない」と明記しており、完全な権限分離を提供するものではない点に注意が必要だ。セッションはローカルゲートウェイのほか、openclaw connect経由でペアリングしたデバイス、あるいはCrabboxツールを使ってAWSやHetznerなどのクラウド環境でも実行できる。プロバイダーの認証情報自体はゲートウェイに保持され、リモートマシンには送信されない設計になっている。
セッション管理とメモリ機能の強化
裏側の技術的な変更として、セッションとトランスクリプトの保存先がSQLiteに移行した。会話履歴を正確なキーワードやフレーズで検索し、該当する前後のメッセージを開き直せる検索機能も追加されている。またモデルによるバックグラウンドのメモリ統合がデフォルトで有効化され、過去のやり取りから学習を蓄積する「Dream Diary」機能も加わった。
一方で非互換な変更もある。OpenProseプラグインは削除され、openclaw doctor --fixで設定をクリーンアップする必要がある。BytePlusやMistral、NovitaAIなど8つのAIプロバイダーは、今後は別パッケージとしてのインストールが必須になった。
開発者コミュニティへの意味
OpenClawはPeter Steinbergerが週末プロジェクトとして始め、現在はOpenClaw Foundationのもとで常勤チームと世界的なパートナーを抱える組織に成長した。Anthropicとは資本関係を持たない独立プロジェクトでありながら、ClaudeやGPTなど複数のモデルプロバイダーと連携する立ち位置を取っている。
今回のアップデートは、個人の開発ツールとして使われてきたOpenClawが、チーム単位でのエージェント活用を見据えた基盤へと踏み出したことを示している。セットアップの障壁を下げつつ共同作業機能を実装したことで、エージェント型ツールの利用がより日常的なワークフローに組み込まれていく流れを後押しするとみられる。