同日配送サービスのShiptは9月9日、テキストや写真から買い物カートを自動生成するAIアシスタント「Ask Shipt」を発表した。Shiptアプリと公式サイトで即日利用でき、提携する100社以上の小売店に対応する。同じ日にInstacartもAIアシスタント「Clementine」を発表しており、食品配送業界でAI機能の搭載競争が一気に加速した形だ。

写真1枚でカートを自動生成

Ask Shiptの最大の特徴は、料理の写真をアップロードするだけで材料を自動識別し、カートに追加できる点だ。SNSやレストランで見かけた料理を撮影してアップロードすれば、必要な食材が数秒で買い物カートに反映される。

テキスト入力にも対応しており、「25人分のテールゲートパーティー用のカートを作り、ブランチのアイテムも入れて」「平日の夕食を1食35ドル以内で5人分」といった複雑な条件を含む要望も処理できる。生成されたカートはチェックアウト前に自由に編集可能で、提案された商品を個別に差し替えたり削除したりできる。

利用にはShiptアプリまたはWebサイトで好みの小売店を選択した後、検索バー下にあるAsk Shiptにアクセスする流れになる。Shiptの提携小売店は100社を超え、米国人口の80%がサービス提供エリア内に含まれるという。

Instacart・Uber Eats・DoorDashも追随

Shiptの最高成長戦略責任者Katie Stratton氏は、「Ask Shiptは買い物の体験に人間中心のAIを組み込み、ひらめきから数秒でパーソナライズされたカートへとつなげる」と説明する。最高技術製品責任者のSmrutha Ipparthi氏も、買い物にかかる管理コストの削減を狙いとして挙げた。

同日発表されたInstacartのClementineは、レシピ提案や過去の購買履歴に基づく学習機能、店舗在庫を考慮した商品選定などを備え、グルテンフリーなど個別の食事制限にも対応する。さらに、Uber EatsやDoorDashも今年に入りAIアシスタント機能を相次いで導入しており、配送アプリ各社がAIを軸にした差別化競争に突入していることがうかがえる。

食品小売業界の調査会社FMIの2026年初の調査では、AI技術を導入済みと回答した企業が全体の3分の2を超え、前年の47%から大幅に増加した。Ask ShiptとClementineの同時発表は、この業界トレンドを象徴する出来事といえる。

買い物アプリのAI化がもたらす変化

写真や自然言語からカートを組み立てる機能は、献立を考える手間や商品検索の時間を減らす一方、AIが提案する商品にプロモーション情報が組み込まれる仕組みでもある。Shiptは今回の発表に合わせ、割引コード「ASKSHIPT2026」(9月30日まで有効、10ドル引き)を用意しており、AIアシスタントの利用促進と販促を組み合わせている。

Shiptは今後、複数のユーザーが1つの買い物リストに共同で追加できる「Shared Lists」機能も展開予定だとしており、家族や同居人との買い物調整にもAIを活用する方向性を示している。同業他社が軒並み同種の機能を投入する中、各社のAIアシスタントがどこまで実際の購買体験を左右するかが今後の焦点になる。