GoogleのAI要約めぐる独禁法訴訟、CheggとPenskeの訴え連邦判事が却下
GoogleのAI Overviewsが出版社のトラフィックを奪ったとする独禁法訴訟を連邦判事が却下。「期待は契約ではない」とし、救済は議会の役割だと指摘した。
米ワシントンD.C.の連邦地裁判事エイミット・メータ氏は、GoogleのAI検索要約機能「AI Overviews」が出版社のコンテンツを不当に利用し検索トラフィックを奪ったとする独占禁止法訴訟を却下した。Variety誌を傘下に持つPenske Media GroupとオンラインサービスCheggがそれぞれ提起していた訴訟で、判決は9月30日付、41ページに及ぶ。
出版社2社が相次いで提訴していた経緯
Cheggが先に提訴し、Penske Mediaが2025年9月にこれに続いた。両社はいずれも、検索結果に残るためにはコンテンツをAI Overviewsへの無料提供に同意せざるを得ない構造になっており、これがGoogleによる独占的な力の濫用に当たると主張していた。AI生成の検索要約が自社サイトへの訪問者数と広告収入を減少させているという訴えだった。
「期待は契約ではない」、メータ判事の判断
メータ判事は、出版社側の主張がそもそも独禁法の要件を満たしていないとし、「“主要な訴えは、入り口の段階でつまずいている”」と指摘した。GoogleがコンテンツをAI Overviewsに使う見返りにトラフィックを送ると約束した事実はなく、双方が合意形成に向けてやり取りした記録も存在しないと判断した。判決は「期待は契約ではない」という一文でこの点を要約している。一方で判事は、出版社側に実害がないとまでは述べておらず、救済手段は議会が検討すべき問題だと傍論で言及した。
小規模出版社にとっての打撃
Googleのトラフィック関連プログラムでは、小規模出版社が得る収益は月1,000ドルに満たないケースもあるとされる。3年前の検索アルゴリズム変更「Helpful Content Update」の影響で、一部の小規模出版社はすでに最大60%のトラフィック減少を経験していた。今回の却下により、AI Overviewsによる同様の被害を法廷で争う道はさらに狭まった。
業界への影響
今回の判決は、生成AIによる検索結果の要約表示をめぐる他の訴訟にも影響を与える可能性がある判例となる。出版社側が独禁法を根拠にコンテンツ利用への対価を求める戦略は、少なくとも「黙示の合意」や「期待」のみを根拠にする限り、裁判所では通りにくいことが明確になった。メータ判事が立法による解決を示唆したことで、AI企業と報道・出版業界の間の対価分配をめぐる議論は、訴訟から政策論争の舞台へと移る可能性がある。