エロン・マスクがサム・アルトマンを相手に起こした OpenAI 訴訟の判決が確定し、陪審団はマスク側の主張をほぼ全面的に却下した。アルトマン側が事実上の勝利を収めたことで、OpenAI の営利化戦略に一定のお墨付きが与えられる形となった。

訴訟の争点

マスクは、アルトマンとグレッグ・ブロックマン(OpenAI 共同創業者)が OpenAI の非営利部門の資産を不当に転用し、営利事業(OpenAI LP)に流用したと主張していた。具体的には、寄付者の意図(汎用人工知能 AGI を非営利で研究)に反して、営利子会社に資産が移されたという違反行為があったと考えていた。

判決の要点

陪審団は以下の理由でマスクの訴訟を却下:

  • 時効の問題:2021年8月5日までに訴訟を提起すべきだったが、提起が遅すぎた
  • マスク自身の矛盾:マスク自身もテスラ自動運転プロジェクトに OpenAI の科学者を無償で配置し、非営利資産の転用に近い行為を行っていたことが証拠で明かされた

業界への含意

この判決は、AI 企業の非営利・営利ハイブリッドモデルに対して司法の一定の理解を示したものとなった。多くのエンジェル投資家や寄付者が支える非営利組織が、その後営利子会社を作るスタートアップ形態は業界では珍しくなく、陪審団もこの構造を認めた。

一方、マスクは控訴を予定しており、法廷闘争はまだ終わらない可能性がある。だが、今回の判決で、OpenAI のガバナンス体制の正当性が(少なくとも米国法廷では)一度認められたことは、AI 業界における企業統治の議論に一石を投じるものとなった。


本記事は複数のメディア報道をもとに記述しています。最終的な法的判断は裁判所による。