Tencent、会話を止めずにタスク遂行する対話AI「Gander」を発表——割り込み率8%で競合を下回る
Tencentが音声・画像・テキストを同時処理しながらバックグラウンドでタスクをこなす対話AI「Gander」を発表。会話を担う「小脳」とタスクを処理する「脳」を分離した設計で、不要な割り込みを競合より抑えた。
Tencentが、リアルタイムの会話を維持したまま複雑なタスクをバックグラウンドで処理する対話AIモデル「Gander」を発表した。音声・画像・テキストを同時に扱いながら、ユーザーはいつでも会話に割り込んでタスクの内容を変更できる。
会話担当の「小脳」とタスク担当の「脳」を分離
Ganderの設計の核心は、機能を2つに分けた点にある。1つは「小脳」と呼ばれる部分で、1秒単位のタイミングでリアルタイム会話を管理し、自然な相槌や間を実現する。もう1つは「脳」で、ファイル検索やコード記述といった複雑なエージェントタスクを担当する。
この「脳」部分は交換可能な設計になっており、CodexやClaude Codeなど他のエージェント基盤と組み合わせることも想定されている。会話の自然さとタスク処理能力を1つのモデルに詰め込むのではなく、役割を分離することで両立を図るアプローチだ。
割り込み率8%、競合の半分以下
Tencentが公開したベンチマーク結果によると、Ganderがユーザーの発話に不適切なタイミングで割り込んでしまう割合は8%にとどまった。比較対象のGPT-Realtimeは13.5%、最も弱い競合モデルでは48%に達しており、Ganderの会話タイミング制御は明確に優位な数字を示している。
さらに、対話のタイミング適切性を評価する「Full-Duplex-Bench v3」というテストでは、100シナリオすべてで適切なタイミングで発話を開始できたと報告されている。学習データは約270万件の対話例で構築された。
一方で、複雑なタスクの精度では競合他社にやや劣り、ビデオや音声の理解性能にも制限があるとTencentは認めている。会話の自然さを最優先に設計した分、タスク実行能力ではトレードオフが生じている格好だ。
開発者への影響
Ganderのコードとデモは GitHub で公開されており、技術詳細は arXiv 論文にまとめられている。音声アシスタントやカスタマーサポートAIなど、「会話を止めずに裏で作業させたい」用途を開発する側にとって、会話管理とタスク実行を切り離す設計思想は参考になるアーキテクチャだ。