カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2026年9月16日、動画・音声広告でAIが生成した「合成パフォーマー」を使う場合に開示を義務付ける新法「SB 1050」に署名した。法律は2027年1月1日に施行され、AI生成の演者を人間の演者と偽って広告を放送することができなくなる。

何が義務化されるのか

SB 1050は、動画・音声・音声動画広告においてAIが生成した「合成パフォーマー」が前面に登場する場合、明確かつ目立つ形での開示を義務付ける。合成パフォーマーとは、実在の人物と区別が難しいほどリアルなAI生成の人物像・音声・表現を指す。法律に違反した広告は継続使用が禁止される。

ニューサム知事は声明で「カリフォルニア州民は、自分に何かを売っている相手が実在の人間ではないと知る権利がある」と述べた。法案を提出したアンジェリーク・アシュビー州上院議員(サクラメント選出)は、合成人物にはその旨を明示し、AIが実在の人物に取って代わることを防ぐ狙いがあると説明している。

SAG-AFTRAが法案作成に協力

俳優・演者の労働組合SAG-AFTRAは法案の起草段階から協力しており、ニューサム知事はSAG-AFTRA本部で署名式を行った。同組合はカリフォルニア州のクリエイティブ産業で働く労働者の保護を知事と継続的に進めており、今回の法律も消費者が合成パフォーマーと人間の演者を区別できるようにすることで、欺瞞的なAI活用から消費者と人間のクリエイターの双方を守る狙いがあるとしている。

適用除外の範囲

法律には一定の例外規定がある。AIを翻訳目的のみで使う場合や、特定のアクセシビリティ機能のために使う場合は開示義務の対象外となる。また、映画・テレビ番組・ストリーミング作品・ドキュメンタリー・ビデオゲームなどの宣伝広告についても、合成パフォーマーが元の作品と一貫した形で登場する場合は適用除外の対象になりうる。

業界への影響

カリフォルニア州は、同様の開示義務をすでに導入したニューヨーク州に続く形となる。広告主・広告代理店は、AI生成の演者を起用したキャンペーンで開示表示の追加対応が必要になり、違反した場合は広告の差し止めを求められる可能性がある。AI生成コンテンツの実用化が広告業界で加速する一方、消費者保護と演者の権利保護を求める規制の動きも並行して強まっていることを示す事例といえる。