Appleが約2年遅延させてきたSiriの全面刷新が、iOS 27でようやく形になった。基盤にはGoogleのGeminiモデルを採用し、従来のChatGPT統合版から大幅に作り直されている。複数のレビュアーが「ChatGPTやGeminiを開かずSiriを使うようになった」と評価しており、iPhone 11以降で利用できる。

何が変わったか

新しいSiriは単発の質問応答から、複数ステップの指示を連続して処理できるアシスタントへと進化した。たとえば「配送に関するメッセージから返品用の文面を作って送って」といった、複数の情報源をまたぐ指示を一度に実行できる。ファイル・メッセージ・メールを横断して情報を検索し、画面に表示されている内容を読み上げたり要約したりする機能も備える。

インターフェース面では、Siriの呼び出し口がDynamic Islandに統合された。音声、電源ボタン、画面上部からのスワイプなど複数の経路から「Search or Ask」という検索・質問インターフェースを開ける設計になっており、アプリの起動やメッセージ送信、カレンダー予定の追加、ノート検索までを一つの入り口でこなす。

カメラアプリとの統合も強化された。飲食物を映せば色や文脈から種類を判定し、看板や商品にかざせば詳細情報を提示する。Apple Intelligenceの機能とも連動し、自然言語でのショートカット作成や、Safariでの価格・ポリシー変更の追跡、写真アプリの「リフレーム」「拡張」機能も利用できる。

Geminiとの比較で見えた強み

Android Authorityのハンズオンテストでは、特定のレストランを調べて営業時間を確認するタスクで、SiriがAppleのシステム全体の検索インデックスを使い1回のリクエストで回答を返したのに対し、Gemini単体では同じ調査に5分間のやり取りを要したという。文脈の記憶力についても、その日の会話の流れを保ったまま追加質問に答えられる点が評価されている。

ユーザーへの影響

2026年1月に「Gemini搭載Siriが2月に公開される」との観測報道が出てから半年以上を経て、実際の製品としてようやくユーザーの手元に届いた形だ。長らく「使われないアシスタント」の代名詞だったSiriが、日常的なタスクの起点として機能し始めたことは、AppleとGoogleの提携が実用段階に入ったことを示している。開発者にとっても、Siri経由での連携機会が今後どこまで広がるかが焦点になる。

アップデート:EUと中国は当面対象外

刷新版Siriは、EU圏と中国では当面利用できないことが判明した。Appleは「ユーザーのプライバシーとセキュリティを保護する道筋を検討している」と説明しており、EUのデジタル市場法(DMA)をはじめとする規制対応が完了するまでの措置とみられる。具体的な法的根拠や対応完了の見通しは明らかにされていない。中国についても、規制要件が不確定であることを理由に提供対象から外れている。

新型Siriはデバイス上とApple独自のクラウド基盤「Private Cloud Compute」の両方でデータを処理する設計だが、EUではこの処理体制がGDPRなどの規制と整合するかどうかがまだ整理できていないとみられる。iPhoneやiPadを長らく使ってきたEU圏のユーザーにとっては、他地域との機能差がしばらく続くことになりそうだ。