米中がAI事故の相互通知メカニズムを協議、トランプ・習近平会談へ提案
米財務長官ベッセント氏と中国の何立峰副首相が8時間の協議を経て、AIが国家安全保障に影響を及ぼす事案を互いに警告する仕組みの新設で一致。今週のトランプ・習近平会談に提案される。
米国と中国が、AIシステムが引き起こす事故のうち国家安全保障に影響を及ぼしうる事案について、互いに警告し合う新しい通知メカニズムの創設で一致した。ニューヨークのJPモルガン・チェース本社で8時間に及んだ協議の末、米財務長官スコット・ベッセント氏と中国の何立峰副首相が合意し、今週ワシントンで開かれるトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談に提案される見通しだ。
「不透明から透明へ」――ベッセント氏の狙い
協議後、ベッセント氏は記者団に「国境を越えたどんな活動とも同じように、世界の1位と2位のAI大国間で不透明性から透明性へ移行することは非常に重要だ」と述べた。両国はAI分野に関する新たな対話の枠組みを設け、その中にAI関連事象の相互通知システムを組み込むことで合意している。
具体的な仕組みとしては、AIシステムの誤作動や不正利用など、国家安全保障に影響を与えかねない事象が発生した際に、相手国へ事前ないし早期に通知する体制を想定している。両国は今後、AI問題に関して再度協議の場を持つことでも同意した。
首脳会談の主要議題に
AI事故の通知メカニズムは、木曜日に予定されるトランプ・習近平会談の主要議題の一つになる見通しだ。アジア・グループのジョージ・チェン氏は、対話の継続そのものに合意した点を評価しつつ、両国間の相互不信の高さから大きな成果は見込みにくいと指摘する。米国側は、AI半導体の対中輸出規制を継続する方針も維持している。
米中両国は世界のAI開発を主導する2大国であり、これまで規制や輸出管理を軸に対立が先鋭化してきた。今回の合意は、競争関係を保ちながらも安全面では最低限の情報共有を図る、初めての具体的な枠組みとなる。
読者への影響
AIをめぐる米中対立は、輸出規制や技術盗用の摘発といった対立局面がこれまで前面に出ていた。今回のような事故通知の枠組みが実現すれば、AIシステムの暴走や誤作動が外交上の偶発的な緊張に発展するリスクを下げる効果が期待できる。一方で、仕組みの実効性は今後の首脳会談での合意内容や、実際の運用ルールの詳細に左右される。