米司法省は、輸出管理の対象となるNvidia製AIチップ搭載サーバーを300億円超(3億ドル)相当、不正な手段で中国に輸出したとして、カリフォルニア州サンゲイブリエル在住のGreg Lui(38歳、別名Yiu Kong Lui)氏を逮捕・起訴したと発表した。Lui氏は、カリフォルニア州シティ・オブ・インダストリーに拠点を置くEarthmade Computer Inc.の経営者だ。

起訴状によると、Lui氏と共謀者らは同社を通じて輸出管理対象の機材を購入し、米商務省の許可を得ずに中国へ送った疑いがある。具体的な手口は、ライセンスが不要なマレーシアやシンガポールなどの第三国にいったん出荷し、そこから中国へ不正に再輸出するというものだった。

2024年の約10カ月間で176億円超を受領

捜査によれば、Earthmade Computerは2024年1月から10月までの間に、マレーシアを拠点とする2つの出荷会社から合計1億7600万ドル(約270億円)超を受け取っていた。偽造された書類を使って出荷経路を偽装していた点も指摘されている。

Lui氏に対する起訴内容は、輸出管理改革法および輸出管理規則違反の共謀1件、不正出国(outbound smuggling)1件、マネーロンダリング共謀1件の3つで、有罪となれば法定上の最大刑は懲役50年に達する。

繰り返される摘発、規制の実効性が問われる

米国は先端AIチップの対中輸出を厳格に管理しているが、第三国を経由した迂回輸出の摘発は今回が初めてではない。高性能チップを積んだサーバーやボード単位の機材は、単体の半導体よりも検査の目が行き届きにくく、密輸のルートとして繰り返し利用されてきた。

今回の事件は、Nvidiaの最先端AIチップそのものではなく「サーバーに組み込まれた形」での密輸が摘発された点が特徴だ。完成品サーバーとして出荷されると、内部のチップ単体を検査するよりも発見が難しくなる。米当局による摘発が続く一方で、同様の手口による迂回輸出のリスクは、輸出管理の実効性そのものに疑問を投げかけている。