OpenAI 会長の Greg Brockman は、AI の進化により人と機械の関係が根本的に変わると述べた。従来、人間がコンピュータに適応していたが、今後は「コンピュータが人間のために働く」ようになるという。その結果、小規模チームが大規模組織と同等の成果を生み出せる時代がやってくるとブロックマンは予測している。

AI の進化が組織規模の意味を変える

ブロックマンの論点は明快である。AI が十分に発展すれば、個人や小チームが大企業と同等の生産性を達成できるようになるということだ。彼は Semafor の World Economy サミットで「小規模チームが、かつて大規模チームを必要とした仕事ができるようになり、大規模チームはこれまで以上の成果を上げられるようになる」と述べた。

この変化を可能にする要素は、AI の自動化能力である。ソフトウェア開発、スプレッドシートの操作、プレゼンテーション作成、ワークフローの自動化、科学研究、さらには会社経営に至るまで、多くの領域でAIが人間の作業を肩代わりするようになる。

ただし、コンピュート力が主要な制約に

ブロックマンの予測には重要な但し書きがある。そうした AI の恩恵を受けるには、十分なコンピュート力(計算機資源)を確保できることが前提だということだ。AI モデルの学習や推論には膨大な計算リソースが必要であり、それへのアクセスが個人や小チームの可能性を左右する。

OpenAI は既に ChatGPT や Code Interpreter など、個人ユーザーも利用できるサービスを提供しているが、より高度な機能やカスタマイズされた AI ツールの利用には、相応のコスト負担が発生する。つまり、AI 時代の成功は「アイデアと能力」だけでなく「計算資源へのアクセス」が鍵になるのだ。

人間とコンピュータの関係性の転換

ブロックマンの発言は、AI 時代の組織論にも影響を与える可能性がある。従来の大規模組織は、スケール追求を前提に設計されてきた。しかし AI の普及により、小規模でも高い成果を上げられる組織が増えていくかもしれない。その場合、採用・給与体系・管理方法など、多くの経営課題が再検討を迫られることになるだろう。