AlibabaのAI開発チーム「Qwen」が、自動運転に特化したビジョン言語モデル「Qwen-Drive-1.0-4B」をオープンソースで公開した。華中科技大学との共同開発で、モデルの重み・推論コード・評価スクリプト・デモデータセットをApache 2.0ライセンスの下、Hugging FaceとModelScopeで配布する。周囲環境の認識から交通状況に関する質問応答、走行経路の計画までを単一モデルで完結させるのが特徴だ。

開発の狙い

自動運転向けのAIは従来、物体検出・地図生成・経路計画といったタスクごとに個別のモデルを組み合わせる構成が主流だった。Qwen-Drive-1.0は、汎用ビジョン言語モデル「Qwen3.5-4B」を土台に、これらの機能を1つのモデルに統合した点が新しい。開発チームは「一般的なテキスト画像モデルが画像を説明できるからといって、自動的に3次元空間を理解するわけではない」と述べ、専用モジュールの必要性を説明している。

技術構成と性能

Qwen-Drive-1.0は、Qwen3.5-4Bをベースに3つのモジュールを組み合わせる構成だ。3D物体検出・意味的占有率予測・地図セグメンテーションを担う「BEV(俯瞰視点)知覚ヘッド」、走行経路を生成する「計画エキスパート」、一般的な質問応答と運転関連の質問応答を処理する「LLMデコーダ」で構成される。計画エキスパートには、人間の運転例を模倣する版と、強化学習でさらに最適化した版の2種類が用意されている。

学習には24の公開交通シーンデータセットを統合して利用した。ベンチマークでは、自動運転の実走行評価であるNAVSIM v1.1(強化学習版)で90.7、Waymo E2Eの走行実現スコアで7.91を記録している。シミュレーション環境では、車線逸脱率が24%から12%へと半減したという結果も報告されている。

課題と読者への影響

一方で限界も指摘されている。カメラの搭載位置や台数といった構成が学習時と異なると認識精度が大きく低下するほか、モデルが出す説明文と実際の走行判断が一致しない場合があるという。実用化に向けては、敵対的な入力操作への耐性など安全面の検証も引き続き必要になる。

モデル本体・コード・デモデータが無償で公開されたことで、自動運転技術の研究者や開発者が独自に検証・改良を加えやすくなる。中国発の自動運転AIがオープンソースの形で公開される事例は増えており、業界内での技術共有と競争が今後さらに加速する可能性がある。