Sakana AI、深層学習の先駆者シュミットフーバー氏をチーフサイエンティフィックアドバイザーに招聘
東京拠点のSakana AIが、メタラーニングやワールドモデルの先駆的研究で知られるユルゲン・シュミットフーバー氏を招聘。自己改善型AIを研究する「RSI Lab」を強化する。
東京に拠点を置くSakana AIは2026年9月、深層学習分野の先駆的研究者として知られるユルゲン・シュミットフーバー氏をチーフサイエンティフィックアドバイザーに迎えたと発表した。同氏は自己改善型AIを研究する社内組織「RSI Lab」の開発を指導し、定期的に東京を訪れてチームと協働する。
1980年代から続く先駆的研究の蓄積
シュミットフーバー氏は1980年代から人工知能研究に取り組み、メタラーニング、ワールドモデル、そして自らを書き換えながら性能を高めるプログラム「Gödel Machine」といった概念を提唱してきた。1991年に発表した深層学習技術は現在のAIブームの基礎の一つとされ、1987年の論文で示した自己改善型メタラーニングの考え方は、今日のAIエージェント研究にも通じる。同氏は招聘に際し「日本は基礎的なニューラルネットワークアーキテクチャと高度なロボット工学の発祥地であり、物理的AIの未来は言語だけでなく世界モデルに支えられた自律システムにある」と述べている。
計算効率重視で築いてきた実績
Sakana AIのRSI Labは、大規模計算力に頼らず、設計上の制約を生かして効率的な改善を追求する方針を掲げる。これまでにLLMが自らの学習方法を改善する「LLM-Squared」(2024年)、ソフトウェア工学タスクの性能を2倍以上に高めた「Darwin Gödel Machine」(2025年)、わずか150サンプルで複雑な最適化問題を解く「ShinkaEvolve」(2025年)、そして学術誌ネイチャーに掲載された自動科学発見システム「AI Scientist」(2024〜2026年)といった成果を積み重ねてきた。
大手依存からの脱却という戦略的意義
Sakana AIが計算効率を重視する背景には、巨大な計算資源を持つハイパースケーラー以外の国家や機関でも独自にAI開発を進められる「主権的AI」の実現という狙いがある。シュミットフーバー氏の招聘は、こうした方針をさらに推し進める動きといえる。同氏の知見が自己改善型AI研究にどう反映されるかは今後の成果を見る必要があるが、日本発のAI研究機関が世界的な研究者を取り込み、独自路線での競争力強化を図る動きとして注目される。