OpenAIは、数学の7大難問「ミレニアム懸賞問題」のうち2つ目の解決に接近していると報じられている。9月上旬にNavier-Stokes方程式の存在と滑らかさの問題を解決したと発表した直後、同社はニューヨーク・タイムズに対し、別のミレニアム懸賞問題で「重要な進展」を遂げたと伝えた。問題の名前は明かされていないが、社内外でHodge予想が有力候補との見方が広がっている。

7問中5問が未解決、賞金は1問100万ドル

ミレニアム懸賞問題は、米クレイ数学研究所が2000年に選定した7つの数学上の難問で、1問解決するごとに100万ドルの賞金が贈られる。これまでにポアンカレ予想とNavier-Stokes問題の2問が解決済みとされ、残り5問が未解決の状態にある。Hodge予想は代数幾何学に関わる問題で、リーマン予想と並んで長年数学者を悩ませてきた。

Scientific Americanの報道によれば、OpenAIが今回明かしたのは「重要な進展があった」という事実のみで、対象となる問題名も、査読可能な論文も、証明を検証するコードも公開されていない。それにもかかわらず、フォーラムやカンファレンス、SNS上では次にどの問題が解かれるのかをめぐる憶測が飛び交っている状態だという。

OpenAIはNavier-Stokes問題の解決発表時、著者クレジットや検証プロセスをめぐって数学コミュニティから強い批判を受けた経緯がある。THE DECODERの報道では、今回OpenAIが具体的な問題名や証明の詳細を伏せているのは、そのPR上の教訓を踏まえた慎重な情報発信の一環とみられている。

一方で、数学コミュニティの反応は歓迎一色ではない。THE DECODERは「数学界はむしろ感銘を受けるより怒っている」状況を伝えており、一部の数学者は自分たちの研究分野そのものがAIによって脅かされているとの懸念を強めている。OpenAIの主任研究者ジャクブ・パホツキ氏は、AIが自身の性能を最適化する「再帰的自己改善」への注力を示唆しているが、今回の数学的成果との直接的な関連は明らかにされていない。

検証待ちの段階、確定情報ではない点に注意

現時点でOpenAIが公式に認めているのは「進展があった」という表現にとどまり、Hodge予想という名指しも、クレイ数学研究所による認定も存在しない。過去のNavier-Stokes問題でも著者クレジットを巡る対立が表面化した経緯があり、今回の件についても正式な論文や第三者による検証が公開されるまでは、噂の域を出ない情報として受け止める必要がある。