OpenAIとMicrosoftの社員が「前代未聞の盗難」と自ら証言、NYT訴訟で公判文書公開
NYTなど複数メディアがOpenAIとMicrosoftを訴える著作権訴訟で、両社社員による「前代未聞の規模の盗難」との社内発言が公判文書で明らかになった。フェアユースの主張は揺らぎつつある。
New York Timesやシカゴ・トリビューン、CNETなど複数のメディア企業がOpenAIとMicrosoftを相手取った著作権訴訟で、両社の社員自身が学習データの利用を「前代未聞の規模の盗難」と社内で表現していたことが、裁判所に提出された共同文書で明らかになった。フェアユース(公正利用)を根拠とする両社の防御は、自社関係者の発言によって足元を揺るがされている。
社内から漏れた「盗難」発言
文書によれば、Microsoftの応用科学部門責任者は社内で「前代未聞の規模の盗難」「人類史上最大の労働の盗難」と発言していた。OpenAI側でも、チャットボット製品が報道機関のコンテンツを「実質的に代替する」ものであることを幹部が認めていたとされる。Microsoftのサティア・ナデラCEOも宣誓証言で、チャットとの会話が元の報道記事へのアクセスに取って代わっていると認めている。
文書はさらに、OpenAIがNew York Timesのペイウォールを回避してコンテンツを取得していたこと、商用利用が許諾条件に反すると認識しながらNYTの記事180万本を含むデータセットを学習に使用していたことも指摘する。訴訟提起後には、原告メディアの記事のみを出力から抑制するフィルターを導入していたという主張もある。
メディアへの実害を示す数字
原告側は、AI企業のコンテンツ利用が報道機関の経営に与えた実害も示している。NYTではクリックスルー率が87〜93%減少、Daily News系列でも83〜91%減少したとされ、Microsoft社内のメモは広告収益の急減を「デス・ループ」と警告していたという。一方でAIが生成する500語の記事は100万本あたり約6800ドルのコストで済むとされ、コンテンツ制作コストの非対称性も浮き彫りになった。
訴訟は2023年の提訴から3年が経過しており、判決は2027年以降にずれ込む見通しだ。フェアユースの主張が崩れれば、AI企業による大規模データ学習の前提そのものが問い直されることになり、生成AIとメディア産業の関係を左右する重要な判例になる可能性がある。