OpenAI の欧州向けインフラ拡張計画が大きく後退した。同社 CEO のサム・アルトマンは昨年 7 月、ノルウェーのナルヴィク市に Stargate データセンターを展開する構想を示していたが、わずか数か月で「その楽観主義は大部分が消え去った」と複数メディアが報じている。

Microsoft と Google が欧州インフラを掌握

Microsoft と Google の両社がOpenAI の領域に進出した。Microsoft はナルヴィク施設で 30,000 個の Nvidia Vera Rubin GPU チップを借用する計約 62 億ドルの既存コミットメントに加えて、さらなる容量を確保した。一方、Google はロンドンにある Nscale データセンターを買収し、OpenAI が当初計画していた施設を自らのものとした。

投資目標の大幅削減

OpenAI のインフラストラクチャ投資予測は劇的に縮小した。同社は 2030 年までに投じると約束していた 1.4 兆ドルの目標を、6000 億ドルへ削減。この数字は、OpenAI が欧州市場での拡張戦略から撤退しつつあることを示唆している。

さらに重要なのは、OpenAI が「ノルウェーのデータセンター用地の契約をまだ成約していない」という点である。同社が当初掲げた野心的な欧州進出計画は、より大規模な競合他社による AI インフラの集約化によって圧倒されている状況が明確になった。

業界への示唆

この動きは、大規模言語モデル時代の AI インフラ競争が、OpenAI 単独では対抗できない規模に達していることを示している。Microsoft と Google のような既存テック大手が、自社のクラウド基盤と資本力を活かして AI インフラを支配しつつある局面に入った。OpenAI は技術開発に軸足を移す可能性が高い。

アップデート(2026年7月)——英国計画停止、投資額「仮説の段階」が判明

4月の欧州全体の縮小から3ヶ月後の7月、さらに深刻な現実が露呈した。OpenAI が英国政府と発表していた Stargate UK(英国でのデータセンター計画)が停止されていたことが明らかになった。

英国政府が公式に喧伝していた「£30 億の AI 投資」のうち、OpenAI による「£20 億の投資」とされていた額が、実は「仮説の段階」であり、具体的な契約や施設建設は進まなかったという。同社は 4月に計画を一時停止し、6月に完全に中止を決定。

停止理由

  • 規制懸念 — UK AI Act や EU AI Act の複雑化・不確実性
  • エネルギーコスト — 英国のエネルギー価格が投資計画の経済性を損なった

この一連の撤退は、OpenAI が「欧州全体での AI インフラ野心を喪失した」ことを意味する。かつてのサム・アルトマンの「1.4 兆ドル投資宣言」から 1年で、その 60% 以上が削減され、さらに地域別では英国のように計画そのものが消滅している現状は、同社のインフラ戦略の根本的な脆弱性を浮き彫りにしている。