OpenRouterの週間トークン消費、2万5000%超の急増、AIバブル論争の材料に
AIモデル仲介サービスOpenRouterの週間トークン消費量が、2025年1月の0.5兆件から2026年9月には126.2兆件へと急増した。ただし数字の急増は利用拡大そのものを意味せず、推論モデルの「思考」トークンが水増しの一因になっている。
複数のAIモデルを一括で扱えるルーティングサービスOpenRouterで、週間トークン消費量が2025年1月の0.5兆件から2026年9月には126.2兆件へと、2万5000%を超える伸びを記録した。この急カーブを描くグラフが、AI業界が過熱しているのか、それとも指標そのものが実態を見誤らせているのかという「AIバブル論争」の象徴的な材料として扱われている。
中国系モデルの支出が10倍に
OpenRouter上では、Kimi・GLM・DeepSeekといった中国系モデルの月間支出が2026年中に10倍へ拡大した。一方、収益面で首位を維持しているのはOpenAIの「Astra」だとされ、利用量と収益の両面でAIモデル市場の勢力図が細かく塗り替わっていることがうかがえる。
OpenRouter自身が公開した「State of AI」レポート(2024年11月〜2025年11月の集計)でも同様の傾向が確認できる。DeepSeekが14.37兆トークンでモデル別トップに立ち、Qwen、Meta LLaMA、Mistral AIが続く。オープンウェイトモデルの週間シェアは2025年後半までに全体の約3割に達し、なかでも中国製オープンソースモデルのシェアは年始の1.2%から30%へと急拡大した。
トークン急増は「利用拡大」の証明にならない
もっとも、トークン消費量の急増をそのままAI活用の拡大と受け取るのは早計だという指摘がある。推論モデルは最終的な回答を出す前に大量の「思考」トークンを内部で生成するため、実際のやり取りの規模以上にトークン数を押し上げてしまう。特に最適化が不十分なエージェント型AIシステムでは、この傾向が顕著だ。
OpenRouterは現在、週あたり約28兆トークンを処理しており、これは世界の推論処理全体のおよそ1%に相当するという。同社のレポートによれば、推論モデルが生成するトークンは全体の5割を超える水準まで拡大し、平均的なプロンプトの長さもこの1年で4倍近くに伸びた。エージェントによるタスク1件分のトークン消費が、人間同士のチャット100件分を上回ることも珍しくないという。
「エージェントがAI最大の顧客」という構図
トークン消費の主役が人間からAIエージェントへと移りつつある構図は、OpenRouter上でエージェント経由の利用が人間の利用量を上回ったとする2026年8月時点の集計とも符合する。今回の最新データは、その傾向がさらに加速していることを裏付けた形だ。
用途別に見ると、プログラミング関連のタスクが占める割合は全体のトークン消費の1割強から5割超へと拡大しており、コーディング支援がAIエージェントの主戦場になっていることも見て取れる。トークン数という指標だけでAI産業の実態を語るには限界があるとしても、エージェントがAI利用の主役に躍り出た事実そのものは、開発者にとって無視できない潮流だ。